sparklersの日記

自己顕示欲と羞耻心と。私に都合のいい私の話。

穂積 式の前日

 このタグ使うのも久々だなあ。

 今各所で絶賛されてて品切れ続出の一冊。今日は渋谷新宿で「入荷未定なんです」と言われてこりゃ無理だなと思ってたら、最寄の書店で「昨日入りましたよ!」と。灯台下暗し。
 表題作は、読み進めながら「ああこれは私は無理だわ」と思っていたんだけど、最後の最後ではっと。
 おそらく「これは無理だわ」という読者の感覚も、読み捨てられないギリギリまでひっぱってネタばらしするところも、全部計算済みなんだろうなと思わされる。それくらいに一つ一つのピースが精巧に組み合わさっている。
 他の短編も、寸鉄というのか、美しくまとまっていて、ああ巧いな、と思った。新人だそうだけど、このひっくり返し方とか、萩尾望都の『半神』をちょっと思い出したり。あと設定もちょっと24年組に影響されてるような匂いがしなくもない……。と好き放題邪推してるのは穂積さんという作者のプロフィールが特に公開されていないからなんだけど。
 今の絶賛絶賛大絶賛みたいなのはちょっとやりすぎじゃないの、と思うけど、それでも漫画にしかできない表現があるし、技巧と情緒に訴えかける表現がうまく融合してると思った。