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sparklersの日記

自己顕示欲と羞耻心と。私に都合のいい私の話。

卯月妙子 人間仮免中

人間仮免中

人間仮免中


 先日「しばらくは手元に置いておくだけにする、読めない」という旨のことを記したのだけど、なんだかんだ読んでしまった。
 読み進めてみれば辛くなってしまうのは最初の数頁だけで、その後は淡々と読めた。
 各種ランキングで絶賛されているけれど、それはこういった障害や病気のない人から見たショッキングさが読了後の印象深さにつながっているからなのかなと。ランキングに寄せられたコメント読むと(全部読んだわけではないです勿論)、「読後の後味の悪さ」に触れたものとか「ショッキング」みたいなものが目についたので。
 卯月妙子の名前は数年前に巨大掲示板とかで目にしていたから知っていたけど、たしか彼女は相当な勢いで叩かれまくっていたような……。叩いていた人と今この作品を絶賛している人が同一ではないだろうけど、世間様の評価というのはかくも手のひらを返すように変わってしまうものなのだなあ。

 卯月さんは「幸せ」なのだろうな、と思う。自殺未遂から、リハビリや手術を経ての回復への道のりは厳しかったのだろうけれど、信頼し己を委ねるに足る他者と出会えていたことこそ一番の彼女の財産であろう。
 「生きてるだけで最高!」と彼女は書く(描く)けれど、それは自殺未遂やリハビリを経ての到達点ではなく、持ち前の気質によるものであるように思われる。……私個人がそのようなことを思い込めるほど強くは生まれ育てなかったことによる僻みによってそう思っているのかもしれないけれど。
 随分と個人的な感傷に浸らされた一冊。特に衝撃や感動はなかったけど、著者の生に対するエネルギーはひしひしと伝わってきた。