sparklersの日記

自己顕示欲と羞耻心と。私に都合のいい私の話。

石と玉と

 もうずいぶん前からネット上で交流のある方が出店されるのをきっかけに、コミティアに今まで2度行った。

 コミティアというのはオリジナルの漫画やイラストの即売会。同人誌イベントといえば一般にコミケが有名だけど、あちらは版権ある漫画やアニメのパロディ、二次創作を含む。

 会場は東京ビッグサイトで、広大なホールは熱気むんむん。今回私が行ったのは5月5日のコミティア108だったのだけど、参加サークル/個人は4835を数えたそうな。ひしめき合うブースに並んだ漫画たちを眺めながら歩くと、ぱっと見て心掴まれるものはほんの僅かというにも満たないことに気付く。

 これだけ漫画があっても読むに耐えうるクオリティのものはごくごくわずかなのだろうし、その中で自分の嗜好に合ったものなどみつかるのかどうかすら怪しく思う。そう考えると創作って……商業ベースに乗り得る漫画作品って……といろいろぐるぐる考えが尽きないのだけど、やっぱり一番強く思うのは、これだけの石があるから商業誌でヒットするような玉が生まれ得るのだなということ。ほんとに玉石混淆だし、商業誌で人気ある連載は本当にごくごく一部の素晴らしく作られたものなんだなと実感する。

 ここ3年くらい定点観測的に某週刊漫画雑誌を読み続けているのだけど、商業誌に載ってる編集者のアドバイスを受けたはずのものでさえコマ割りが下手というか見辛いようなものはある。コミティアの同人誌でも上手いひとは上手い。とにかく読ませるレベルに持っていける人って本当に少ないし、それはとても難しいのだなと思う。

 東京藝大だったかの入学式で、学長が「君たちの99%は1%の天才を磨くための石だ」みたいなこと言ったという話を聞いたことがあるけど、それを思い出す。

 こと娯楽に関しては、時間とお金をかけるに値しなければ消費者は容赦無く見放すのだから、シビアだよな。