sparklersの日記

自己顕示欲と羞耻心と。私に都合のいい私の話。

清少納言『枕草子』

今週のお題「人生に影響を与えた1冊」

枕草子に出会ったのは、小学校に入ったばかりくらいだった記憶がある。

枕草子 (くもんのまんが古典文学館)

枕草子 (くもんのまんが古典文学館)

 

 公文から出てる子供向け漫画を、書店の児童書コーナーで発見して買ってもらった。ずっと昔を生きた人が今を生きる自分とおなじようなことを感じている、ということが単純に面白くて何度も何度も読んだ。小学校高学年になって買ってもらったのがこれ

 

枕草子 (21世紀版・少年少女古典文学館 第4巻)

枕草子 (21世紀版・少年少女古典文学館 第4巻)

 

 大庭みな子訳のもの。2009年に新版が出てるみたいだけど、私が持ってるのはこっちの古い表紙。女房装束の女性がハンディカム(当時の最先端!)でうぐいすを撮っている。

枕草子 (少年少女古典文学館 第4巻)

 

この講談社から出てるシリーズ、日本の古典シリーズも海外文学の古典シリーズもあるけどどれも解説が図入りですごく充実してるので、当時の時代背景や文化がわかりやすくてとてもよいです。閑話休題

時代を問わず人の感じることってあまり変わらないんだな、というところは相変わらずだけど、大庭みな子の軽妙な訳が読みやすく美しい。平安貴族の感じる「をかし」の感覚というものを叩きこまれた。清少納言が暮らした清涼殿の間取りまで見開きで図解してあって、脳内では3Dマップを移動していた。大学時代京都に旅した時には御所に行って清涼殿を実際に見てきたくらいには思い入れがある。

そして昨年、NHKの『100分de名著』という番組でも枕草子をやってたのでそのテキストを購入。 

清少納言『枕草子』 2014年10月 (100分 de 名著)

清少納言『枕草子』 2014年10月 (100分 de 名著)

 

枕草子に関しては個人的に思い入れが大きすぎて、 なんとなく著者の解釈というか楽しみ方にすんなり入っていく気になれず、録画した番組も見てないし本もぱらぱらとめくっただけなんだけど、清少納言が仕えていた中宮定子が政争に巻き込まれて失脚、若くして死んでしまうという背景を強く意識した読み方であるらしい。

清少納言の宮中生活は中宮定子の栄華とともにあったわけで、定子が亡くなったときの落胆ぶりは想像に難くない。その視点から大庭みな子訳を読んだ上で、NHKのテキストを読もうと思っている。

長い時の隔たりがあっても人の感じるところには変わらぬものがあり、それは歴史が血の通った人のあゆみによって現在まで紡がれていることの証明だと強く感じられる。遠い昔のことも今に至る地続きの歴史の一部だと実感できる古典。