sparklersの日記

自己顕示欲と羞耻心と。私に都合のいい私の話。

中村珍 羣青 上・中・下

 連載当初から読んでいて昨年中頃完結してたのに、こっちには何も書いてなかった……。
 昔から好きだった女から彼女のDV夫の殺害を依頼されたレズビアン女性が、夫殺害ののち依頼者と二人で逃避行をする漫画。
 突き刺さるような言葉の応酬が続き、読んでる側もけっこうしんどくなって試される。特に上巻から中巻にかけてはエネルギーが要った。セクシュアルマイノリティ、貧困、性暴力、人を思いやるという善意は必ずしも相手にとっての善とは限らないということ……。
 台詞はかなり芝居がかっているのだけど、そんなことを気にさせない勢いと緊張感に引き込まれる。背景、台詞、ありがちな人生のアクシデントの数々、何もかもが過剰なのだけど、あざとくは感じられない。作者の身を削るさまや気迫がこちらにまで伝わるせいかもと勝手に思う。
 完結記念サイン会まで参加して、中村珍先生にサイン頂いてきた。大事にする。
 それにしても、同い年(学年だと一つ下かもしれない)の方がこんな作品作るなんてすごいなあ。積み重ねた齢は同じでも、人生の道程はいろいろだものな。